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治療を続けても改善されない。交通事故による後遺障害とは

2014.07.30更新

交通事故で後遺症が残ったら、損害賠償金をもらうために、後遺障害として認定してもらう必要があります。症状固定になれば後遺障害認定申請ができますので、損害賠償金をもらうための準備を始めましょう。

交通事故では後遺症が残ることがある

交通事故に遭ってケガをした場合、一定期間治療を続けても完治しないケースがあります。
急性期の症状を脱しても、依然として機能障害や神経障害、運動障害が残っていれば、それは後遺症になります。 交通事故で後遺症が残った場合には、後遺症が残ったことについての慰謝料や後遺症による逸失利益を加害者に請求することができます。
加害者が支払うべき損害賠償金は加害者の加入している保険会社が支払うことになりますが、保険会社はどんな後遺症でも保険金を支払ってくれるわけではありません。保険会社から支払いを受けるためには、後遺障害として認定される必要があります。

症状固定すれば後遺障害認定申請ができる

後遺障害として認定を受けるためには、

  • 交通事故によって受傷した精神的・肉体的な傷害であること
  • 将来においても回復が見込めない状態であること
  • 交通事故と症状固定時に残っている症状との間に因果関係があること
  • 症状が医学的に立証・説明できること
  • 労働能力の喪失を伴う状態であること

が必要条件になります。つまり、後遺症の中で上記の条件をみたしたもののみが賠償金支払いの対象となる後遺障害として扱われます。後遺障害の認定を受ければ、傷害による損害(治療費、休業損害、通院慰謝料等)とは別に、後遺障害による損害についての損害賠償金を支払ってもらうことができます。
後遺障害の認定を受けるためには、まず、「症状固定」していなければなりません。
症状固定というのは、症状が安定し、医学上一般に承認された方法を用いても治療効果が期待できなくなった状態のことです。
しかし症状固定すると保険会社からの治療費支払いが打ち切られ、その後の治療費は原則として自己負担となってしまいます。保険会社はいつまでも治療費を払い続けたくはないため、交通事故後6ヶ月を過ぎれば症状固定を促してくることがあります。症状固定になったからといって、その時点で被害者の方に残っている症状の全てが後遺障害として認定されるわけではありません。いつまでも延ばしておけるものでもありませんが、安易に症状固定するのではなく、実際に治療を受けて良くなっている感覚があるのであれば、医師とも相談しながら、どうしていくか決めていきましょう。

後遺障害を認定してもらう方法

医師に症状固定の診断をうければ、後遺障害の認定申請ができます。後遺障害は障害の程度に応じて1~14級に分かれており、等級に応じて損害賠償額(後遺症逸失利益、後遺症慰謝料)が決まっています。後遺障害の等級認定を行うのは損害保険料率算出機構ですが、申請窓口は加害者加入の自賠責保険の保険会社です。
後遺障害の等級認定を受けるためには、「事前認定」と「被害者請求」の2つの方法があります。
事前認定は加害者側の任意保険会社に一括して手続してもらう方法です。交通事故のケガの治療費は、加害者側の任意保険会社(一括社)が自賠責保険分も一括払いして、任意保険会社から自賠責保険に立て替えた分を請求するケースが多くなっています。そして、一括払いが行われるケースでは、被害者が何も言わなければ任意保険会社がそのまま後遺障害の認定申請を行ってくれます。
一方、被害者請求は、被害者が直接自賠責保険に認定申請を行うものです。
事前認定の場合には、保険会社が必要な資料等を揃えて手続してくれますから、手間がかかりません。しかし、事前認定で保険会社に手続を任せてしまうと、被害者が適正な等級認定を受けられない恐れがあります。
被害者請求の場合は、被害者自身が専門家と相談しながら手続が進められます。また、被害者請求では、示談する前に認定された等級の自賠責限度額を先取りすることができるので、一時金を得て、それを弁護士費用等に充てられるメリットがあります。