交通事故での被害者側保険会社はなにをしてくれるのか
2015.05.26更新
交通事故の損害賠償金は加害者側が払ってくれますから、被害者側は自分が加入している自動車保険から保険金を受け取ることは原則としてありません。けれど、被害者側にも過失があった場合や人身傷害補償特約、弁護士費用特約などの特約をつけていた場合には、被害者自身が加入している任意保険から保険金を受け取ることができます。
交通事故の被害者側の過失分が補償されることがある
交通事故の被害者になった場合には、加害者に損害を賠償してもらうことができます。加害者が自動車保険に加入していれば、損害賠償金は加害者側の保険会社が払ってくれることになります。
交通事故で自分が100%の被害者になった場合には、損害賠償金の全額を加害者側の保険会社から受け取れます。けれど、実際には交通事故では被害者側にいくらかの過失があるとされ、損害賠償金が減額されてしまうことが多くなっています。
被害者側に過失があるケースでは、被害者は自分の過失分については加害者側の保険会社から損害賠償金を受け取ることができません。しかし、もし被害者自身が加入している自動車保険で人身傷害補償特約を付けていれば、被害者側の保険会社から保険金を受け取ることができます。
人身傷害補償特約なら過失割合に関係なく補償が受けられる
任意保険には、人身傷害補償特約という特約が用意されています。人身傷害補償特約とは、車に搭乗中の事故で死傷した場合に、過失割合に関係なく損害額を填補してもらえる特約です。
交通事故の被害者となった場合に、自らの任意保険で人身傷害補償特約をつけていれば、被害者側に過失があるとして減額された損害賠償金と実際の損害額との差額分を払ってもらえます。もし加害者が無保険であった場合にも、人身傷害補償特約を付けていれば損害額が填補されることになります。
人身傷害補償特約を使っても等級が下がることはありませんから、被害者側は安心して保険金を受け取ることができます。
交通事故の被害者側保険会社は示談交渉を代行できない
交通事故の加害者となった場合には自分が加入している任意保険会社に示談交渉を代行してもらえます。けれど、自分が100%被害者である場合には、示談代行サービスはありません。
そもそも、法律上の権利や義務が発生する事項について代理人になって示談ができるのは、法律によって弁護士のみと定められています。しかし、昭和48年の日弁連と損害賠償保険協会の協議により、被保険者に損害賠償責任が発生する事故については、実質的に損害賠償金を払うことになる任意保険会社が示談交渉を代行することが認められているのです。
つまり、たとえ交通事故に遭ったとしても、自分が100%被害者であれば、保険会社に示談交渉を代行してもらうことはできません。被害者側は、自分で示談を行うか、弁護士に代理となってもらって示談交渉してもらう必要があるのです。
弁護士費用特約があれば弁護士費用を填補してもらえる
交通事故の被害者になった場合には、加害者側保険会社の担当者と示談交渉しなければいけません。けれど、いくら自分が被害者だと言っても、示談交渉のプロである保険会社を相手に話し合いをするとなると、不安を感じるのが普通だと思います。だからと言って、弁護士に示談を依頼すれば高額の費用がかかってしまうため、躊躇してしまう人も多いでしょう。
そういう場合に備えて、任意保険には弁護士費用特約というものが用意されています。弁護士費用特約を付けていれば、弁護士に法律相談したり、示談、訴訟などを依頼したりする場合の費用を保険会社に支払ってもらうことができます。
なお、交通事故の相談は、司法書士や行政書士にも依頼できますが、弁護士費用特約では司法書士や行政書士に依頼する場合の費用もカバーされている場合が多くなっています。
交通事故で被害者になった場合、多少なりとも過失があれば加害者側保険会社から損害賠償金の全額を受け取ることができません。けれど、自分の加入している任意保険で人身傷害補償特約を付けていれば、保険金を受け取ることができます。弁護士費用特約を付けていれば、弁護士費用を払ってもらうこともできます。もしも被害者となった場合のために、自分の加入している自動車保険の補償や特約を確認しておきましょう。