被害者が死亡した場合
死亡事故による主な損害賠償の種類
死亡事故による損害賠償の種類には主に以下のものがあります。
治療関係費 | 基本的には、被害者が亡くなるまでの実費全額が請求できます。 |
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葬儀関係費用 | 葬儀費用は原則として150万円です。但しこれを下回る場合、実際に支出した額となります。仏壇や墓石の費用は特別の場合のみ認められます。 |
帰国費用 | 近親者の死亡により海外から帰国した場合の交通費を損害として認めています。 |
弁護士費用 | 裁判になった場合は、通常、認容額の10%程度が損害として認めています。 |
休業損害 | 被害者が亡くなるまでの休業損害が認められる場合があります。休業損害へ |
死亡による遺失利益 | 被害者が生存していたら得られたであろう利益が損害として認められます。算定方法は下記参照 |
死亡による慰謝料 | 下記参照 |
死亡の場合の慰謝料
以下の基準が目安となり、個別事情によって判断されます。
- 一家の支柱
- 2800万円
- 母親・配偶者
- 2400万円
- その他
- 2000万~2200万円
但し、これはあくまでも目安であり、個別具体的事情が考慮されます。
死亡による逸失利益の算定方法
交通事故により被害者が死亡した場合の逸失利益は、次のような計算式で算出されます。
基礎収入(年収) × (1-生活費控除率) × 中間利息控除係数
(例)年収750万円 40歳 妻・子供1人の場合 750万円×(1-0.3)×14.643 = 7687万5750円
基礎収入(年収)は、被害者の実際の収入を基礎として割り出す方法と、統計による平均的年収(賃金センサス)を基礎として割り出す方法とがあり、被害者の従事していた職業に応じ、基準が異なります。
家事従事者については賃金センサスの基準によります
生活費控除率とは、被害者が仮に存命だった場合の生活費を、上記基礎収入から差し引くためのもので、性別や家庭内での役割に応じ30%~50%が生活費控除率として定められています。
一般的な生活費控除率
- 一家の支柱
- 30~40%
- 女性(主婦・独身・幼児)
- 30%
- 男性(独身・幼児)
- 50%
中間利息控除係数とは、本来将来にわたって得られるはずの収入を損害賠償として一括して先払いを受けることになることから、利子分を差し引くために用いる係数です。
裁判所では一般に、ライプニッツ係数(PDF:34KB)が用いられ、被害者の就労可能年数(死亡時の年齢から67歳までの年数)に対応した係数が定められています。
死亡事故における損害賠償請求者
死亡事故の場合、被害者は亡くなってしまっているので、被害者自身が損害賠償請求することができません。
したがって、実際に損害賠償請求するのは、被害者の「相続人」となります。相続人が複数いる場合には、相続人間で代表者を定め、その代表者が加害者と交渉することが通例です。