交通事故でもっとも多い症状とは
2014.07.30更新
交通事故後の症状でもっとも代表的なものは「むち打ち症」です。むち打ち症は首に異常が起こるだけでなく、様々な不快な症状が現れることがあります。むち打ち症の症状はすぐに治まることが多いですが、後遺症になることもありますから、事故直後から用心しておきましょう。
むち打ち症とはどんなものか
むち打ち症は、頸椎捻挫、頸部挫傷、外傷性頸部症候群などの総称です。
我々の頭部は体の中でも特に重たく、その重たい頭が胴体の上にやや不安定な形で載っている状態です。追突事故などに遭えば、車に乗っている人の重たい頭部は、胴体よりも遅れて、胴体に引っ張られるような形になり、首の組織を傷めてしまうことがあります。このとき、頭部のS字型の動きが鞭を打ったときに似ているため、むち打ち症と呼ばれています。
むち打ち症の種類
むち打ち症にはいくつかのパターンがありますが、最も多いのは、頸椎捻挫型で、全体の約70%を占めると言われています。頸椎捻挫型は首を支えている筋肉や靭帯が損傷し、首の痛みやこわばり、肩こり、頭痛、めまい、吐き気などの症状が起こります。
また、神経根型と言って、神経が圧迫されて、首の痛みのほかにだるさや顔面痛などの症状が出るものもあります。
このほかに、首の交感神経が過度に緊張して頭痛やめまいなど様々な症状を引き起こすバレーリュー症候群や、脊髄が傷ついて下肢のしびれや知覚異常、膀胱直腸障害などが起こる脊髄型があります。
むち打ち症がなかなか治らない場合は、脳脊髄液減少症が考えられます。脳脊髄液減少症は、脳と脊髄を満たしている髄液が外傷などによって少しずつ漏れ出すことにより、脳の位置が下がるなどして、様々な症状を引き起こすものです。
むち打ちの症状と経過
むち打ち症は、事故に遭った日にはほとんど症状が出ず、遅れて症状が出てくることが多いと言われています。しかし、症状が出てから診察を受けた場合、交通事故との因果関係の立証が難しくなってしまうため、自覚症状がない場合であっても、事故当日に必ず受診するようにしましょう。
また、むち打ち症はレントゲンでは異常が認められないケースが多いようです。事故直後の検査で異常がなくても、しばらくは用心しておきましょう。
むち打ち症の初期症状としては、首の痛み、違和感、頭痛、強い不快感などがあります。事故から1ヶ月程度はなるべく安静に過ごしましょう。初期の治療としては、アイシングをしたり、頸椎カラーやギプスで首を固定するなどがあります。
中期段階には、普段は痛みが治まっていますが、首を動かした時だけ痛むといった場合が多いようです。鍼灸やマッサージで症状が改善することもありますので、整形外科だけでなく、鍼灸院や整骨院で治療を受けることも考えてみましょう。症状が安定し、医学上一般に承認された方法を用いても治療効果が期待できなくなった状態を症状固定といいます。
むち打ち症は、半年から1年くらいで症状固定になることが多いといわれています。
症状固定の関係で言うと、保険会社は、症状固定日までの治療費に限り負担する対応を採っています。また、症状固定と診断されることで、後遺障害認定を申請することが可能になります。