後遺障害による慰謝料請求が認められない場合とは
2014.11.04更新
交通事故を原因とする後遺障害を負った場合、その後遺障害について加害者に損害賠償を請求することができます。ただし、注意しなくてはならないことは、障害の種類によっては後遺障害に該当しない(非該当といいます。)と判断されるケースが発生するということです。 では、どのような症状が非該当にあたるのでしょうか? 今回は、後遺障害だと認定されにくい非該当の症状についてご紹介しましょう。
後遺障害認定で非該当になる症状とは
交通事故を起因とする後遺障害の認定は、一般的にその障害がもとで労働能力の一部が失われたと判断された場合とされています。ところが、後遺障害になっても障害の種類によっては労働能力が失われたとは考えにくいとされ、非該当になる障害もあります。
以下のような場合は、非該当の対象となります。
- 1.後遺障害と診断された根拠が主に被害者の自覚症状に偏っているため
- 2.診断の証明となる各診断書の症状部位ごとの症状に整合性が見受けられないため
- 3.写真、画像など客観的資料から部位の変化、異常所見などが判断できないため
- 4.傷病名と検査所見に矛盾があるため
- 5.神経学的な判断がなされていないため
一番代表的な症状は「むちうち」ですが、例えば顔や体に残る傷跡(外貌醜状痕)や、味や臭いを感じなくなった障害、腰の骨(腸骨)の変形など、表向きには分かりにくい、あるいはその症状によって労働能力が失われたわけではないと判断されるものなどが特徴です。
後遺障害認定が受けられなかった場合の申請
前項で述べた以外にも非該当になってしまう傾向として、主治医に対して自覚症状について述べた主張が一貫していないことも挙げられます。診断書などで症状について主張にブレがあったりあいまいだったり、あるいは症状部位の認識にブレがあると、後遺障害として認定を受けられない可能性があります。医師の診察を受ける際にはこの点にも注意が必要です。
ただし、もしこうした事情で後遺障害認定が受けられなかった場合、異議申立、自賠責保険、共済紛争処理機構への紛争処理申請、民事訴訟の提起をすることで認定を得られることもあります。その場合、以下のことに注意しながら申請を行ってください。
- 1.交通事故後に症状が発症したことを明確にすること
- 2.交通事故との因果関係が明らかであることを示すこと
- 3.治療経過、症状についての関係性があること
- 4.該当の交通事故以外に症状の原因が考えられないことをきちんと示すこと
非該当になった場合の申請で注意すべきこと
民事訴訟による場合、法律上の後遺障害等級の認定基準に満たなかったとしても、職務上の支障、あるいは日常生活上の支障が生じてしまっている際には、労働能力の喪失と認定されるケースがあります。この場合、後遺障害にもとづく損害賠償も獲得できるので、まずは「後遺障害である」というきちんとした申請を行う必要があります。 特に、後遺障害を獲得しづらいむちうちなどは、事故当時の状況から治療経過、どの段階でむちうちと診断されたのか、現在の症状などをすべて明らかにしましょう。
交通事故被害にあった際には、自己判断に頼らず、必要とあれば専門家の弁護士などに相談しながら適切な交渉をする必要があります。特に後遺症が残りそうな場合は注意するようにしましょう。