交通事故による「腕しびれ(上肢)」の後遺症について
2015.06.23更新
上肢(肩~肘~手首)の後遺障害は、切断や離断による欠損障害と、関節可動域制限による機能障害に大別されます。また、偽関節(骨折部位の癒合不全)による変形、しびれ(末梢神経障害)を残している場合も後遺障害等級が認定されることがあります。
「上肢の欠損と後遺障害等級認定について」
上肢の欠損は、日常生活や就労に多大な影響を及ぼします。そのため、両上肢を肘関節以上で失った場合は、後遺障害等級の中でも最上級に値する1級3号が与えられます。以降、両上肢を手関節(手首)以上で失ったものは2級3号、1上肢を肘関節以上で失ったものは4級4号、1上肢を手関節以上で失ったものは5級4号に格付けされています。等級の認定は、義肢を装着していない状態で行われます。
「上肢の機能障害と後遺障害等級認定について」
上肢の機能障害は、三大関節と呼ばれる肩および肘、手関節の可動性がどの程度失われているかによって評価されます。等級認定基準では、三大関節全てが硬直し可動性を失っているものを「上肢の用を全廃」、可動域が2分の1以下に制限されたものを「著しい障害」、4分の3以下に制限されたものを単なる「障害」として格付けしています。両上肢が全廃しているものに対しては最も重い1級4号、1上肢の用を全廃したものは5級6号が与えられます。1上肢の三大関節のうち2関節が全廃しているものは6級6号、1関節が全廃しているものは8級6号に該当します。1上肢の三大関節のうち1関節に著しい障害を残すものは10級10号、1関節に障害を残すものは12級6号の扱いになります。
「上肢の変形と後遺障害等級認定について」
偽関節とは、骨折した部位の癒合が停止し、本来関節ではない部分に異常な可動性を呈している状態を指します。偽関節により「物を保持し移動させる」という基本的な上肢機能を失っているものは、後遺障害等級の認定対象となります。このうち、日常生活において常に硬性補装具の装着を常に必要としている状態を指し、上腕骨ととう骨・尺骨それぞれに偽関節が生じているものに7級9号、そのいずれかに偽関節が生じているものに8級8号の等級が与えられます。偽関節はあるものの、硬性補装具を必要としていないものは12級8号の扱いになります。
「上肢のしびれと後遺障害等級認定について」
むちうち症などにより、上肢にしびれ(神経症状)を残し日常生活動作に支障を来しているものに対し、12級ないしは14級の後遺障害等級が認められる場合があります。いずれもCTやMRIなどの画像診断または医学的な根拠により神経症状が裏付けられるものに限って認められ、局部に頑固な神経症状を残すものに12級13号、それ以外には14級9号の等級が与えられます。
上肢の3大関節の欠損、機能障害、変形以外にも肩関節の腱板損傷や軟骨損傷でも後遺障害等級が認められるケースがあります。長期間に渡って辛い痛みが持続し、治療の経過が思わしくない場合は、交通事故専門の法律家に相談をしてみると良いでしょう。