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被害者の関係者に不注意があった場合

2017.04.28更新

被害者の関係者に不注意があった場合には、賠償額が減額されることがある

交通事故の被害者は、損害額全てを加害者に対して請求できるわけではありません。

もし被害者の方に不注意(=過失)があった場合には、賠償額が減額されます(民法722条2項)。

これを過失相殺といいますが、過失相殺は、被害者本人に不注意があった場合のみならず、被害者の関係者に不注意があったときにも、適用されます。

被害者の関係者に不注意があった場合=「被害者側の過失」とは何か?

判例上、交通事故の被害者本人ではなく、被害者と身分上ないし生活関係上一体をなすとみられるような関係にある者の不注意も、過失相殺の対象とされています(最判昭和42年6月27日)。

これを、「被害者側の過失の理論」といいます。

「被害者側の過失の理論」の適用を肯定した例は以下のとおりです。

  • 被害者の幼児の親に、監督上の過失があった場合(最判昭和44年2月28日)
  • 被害者を乗せて運転していた夫に過失があった場合(最判昭和51年3月25日)

一方、「被害者側の過失の理論」の適用を否定した例は以下のとおりです。

  • 被害者の幼児を引率していた保育園の保母に、監護上の過失があった場合(最判昭和42年6月27日)
  • 被害者を乗せて運転していた職場の同僚に過失があった場合(最判昭和56年2月17日)

上記のとおり、被害者と身分上・生活関係上の一体性の有無により、結論が分かれていますので、同じ状況が考えられる場合には弁護士へご相談ください。