交通事故後の弁護士費用特約の使い方
2015.05.26更新
自動車保険の弁護士費用特約は、契約している車だけでなく友人の車といった他の車での事故にも使えるなど、カバーされている範囲が広くなっています。弁護士費用特約では1回の事故で被保険者1名につき300万円までの弁護士費用を補償してくれますから、ほとんどのケースで自己負担なしで弁護士に示談や訴訟を依頼することができます。まずは、交通事故での弁護士特約の使い方を知っておきましょう。
弁護士費用特約は他の車での事故や家族の事故にも使える
弁護士費用特約を付けていれば、契約者が車にかかわる交通事故に遭った場合の弁護士費用を保険会社に負担してもらえます。特約の細かい内容は各保険会社で異なりますが、多くの保険会社では、契約している車を運転中に交通事故に遭った場合だけでなく、友人の車を運転しているときの事故、自転車やバイクに乗っているときの事故、歩行中の交通事故などもカバーしています。また、契約者本人だけでなく、家族が事故に遭った場合にも弁護士費用特約が使えることがあります。
なお、弁護士費用特約は人身事故の場合には使えますが、物損事故の場合には、使える保険会社とそうでない保険会社があります。
被害の内容については、死亡や後遺障害、入院の場合にはどこの保険会社のものでも使えますが、通院だけのケガの場合には使えない保険会社もあるので注意してください。
訴訟や示談の費用だけでなく法律相談費用も払ってもらえる
弁護士費用特約では、交通事故に関して弁護士に訴訟や示談を依頼した場合の費用について補償されます。また、弁護士に法律相談をしたけれど訴訟や示談を依頼することにはならなかった場合にも、法律相談にかかった費用を負担してくれる保険会社が多くなっています。
なお、交通事故の相談は、司法書士や行政書士にもすることができます。弁護士費用特約という名前でも、司法書士や行政書士に依頼や相談した場合の費用についてもカバーされる保険会社も多くなってきています。
弁護士費用特約で支払われる保険金の上限は300万円
弁護士費用特約では、1回の事故で被保険者1名につき上限300万円までの弁護士費用をカバーしてくれます。法律相談費用については上限10万円となっています。
弁護士に支払う報酬は、最終的に保険会社から支払われる損害賠償金の額によって変わってきますが、弁護士費用特約を付けていても、弁護士費用が300万円を超えてしまった場合には、超えた分は自己負担となってしまいます。
けれど、実際には弁護士費用が300万円を超えるのは損害賠償額が2000万円を超えるような重度の事故のケースですから、ほとんどの場合には300万円以内でおさまります。仮に弁護士費用が300万円を超えるようなケースでも、弁護士に依頼することで最終的に獲得する損害賠償金額が増えますから、実質的にデメリットはないと言えるでしょう。
弁護士費用特約を使うときには保険会社の同意が必要
弁護士費用特約を使う場合には、事前に保険会社に「弁護士費用特約を使いたい」という旨を申し出て、保険会社の同意を得なければなりません。弁護士に示談や訴訟を依頼する場合には弁護士との間で委任契約を結ぶことになりますが、委任契約締結前に必ず保険会社に連絡して同意を得ておく必要があります。
なお、弁護士費用は弁護士から直接保険会社に請求するケースが多くなっていますので、その場合には被保険者が一旦立て替える必要はありません。
自らが100%被害者になった事故の場合には、保険会社に示談を代行してもらうことはできませんが、弁護士費用特約を使うことができます。弁護士費用特約は法律相談でも使える場合がありますので、加害者側保険会社から提示された損害賠償金について疑問があると感じたときには、まず弁護士に相談してみることをおすすめします。