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保険金の保険会社提示額と裁判所基準額の違いとは

2014.11.04更新

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交通事故の損害賠償額の算定基準には自賠責基準、保険会社基準(任意基準と呼ぶこともあります。)、裁判所基準(弁護士会基準、弁護士基準と呼ぶこともあります。)の3種類があり、その中で損害賠償額が最も高いのは裁判所基準になります。 しかし、交通事故で任意保険会社が基準としているのは保険会社基準で、裁判所基準よりはかなり低い賠償額になります。 いったいこの2つの違いはなんなのでしょうか。ここで詳しく説明していきます。

保険金は何を基準に算定するか

交通事故で被害に遭った場合、加害者側の保険会社から事故の損害に対する賠償金を支払ってもらうことができます。しかし、交通事故の損害賠償金というのは簡単に算定できるものではありません。

治療費など金額のはっきりしている積極損害だけなら計算しやすいですが、休業損害や逸失利益といった消極損害についてはどこまで賠償すべきかが分かりにくくなっています。さらに、交通事故に遭ったことに対する慰謝料となると、いったいいくらが妥当なのか、金額の算定自体困難です。 そこで、実務上は損害賠償額を体系化した基準を使って算定を行っています。

損害賠償額の算定基準には3種類ある

すでに説明しましたとおり、交通事故の損害賠償金額を算定する際に使われている基準は1つではなく、3つの基準があります。3つの基準とは、「自賠責基準」、「任意保険基準」、「裁判所基準」です。 自賠責基準は、自賠責保険による損害補償の基準額です。自賠責保険は交通事故の被害者の最低限度の補償を実現する目的で、車を運転する人全てに加入が義務付けられている強制保険です。自賠責保険の基準はあくまで最低限度の補償になりますから、3つの基準の中ではいちばん低い額になります。なお、法律により自賠責基準未満で示談することはできないとされています。 任意保険基準は、任意保険会社の内部基準となっている額です。任意保険会社ではこの内部基準をもとに保険金額を計算すると言われていますが、任意保険基準は公表されておらず、任意保険会社によってもこの基準を適用するかどうかはまちまちです。任意保険基準は自賠責基準よりは高い金額になりますが、裁判所基準に比べるとかなり低い金額です。

裁判所基準は、弁護士会が過去の裁判例をもとに算出した基準で、弁護士会基準、弁護士基準とも呼ばれます。3つの基準の中では最も高額となり、弁護士が裁判をする場合にはこの基準をもとに損害賠償を請求します。

どの基準に従って算定するか

交通事故の被害者が自分の損害に見合う十分な補償を得ようと思えば、裁判所基準に従って賠償額を算出するのが妥当です。 しかし、保険会社が提示する保険金の額は、任意保険基準によって算出されたものになりますから、当然裁判所基準よりも低くなっています。

さらに、保険会社は賠償額を自賠責保険の範囲内に収めようとすることも少なくないので、示談の際にはかなり低い金額を提示されるケースが多くなっています。つまり、保険会社の言うとおりにしてしまえば、被害者は十分な救済を得られないことが多くなってしまうのです。

裁判になれば裁判所基準の賠償金を勝ち取ることもできるかもしれませんが、裁判となると時間、労力、費用(弁護士費用等)がかかって大変ですから、できることなら示談ですませたいと思う人も多いはずです。 示談で保険会社から裁判所基準の賠償額を得ることはなかなか難しいですが、交渉により多くの賠償額が得られることもありますから、あきらめずに交渉を試みてください。